Archive for 11月, 2010
小野成視さんのトーク
本日は、写真家・小野成視(おの・しげみ)さんにおいでいただき、「人間風景へのまなざし―絵画と写真―小野具定(おの・ぐてい)・成視二人展」ゲストトークを行ないました。
小野さんは1975年、当時宮城教育大学長だった林竹二さんと出会い、以来その授業を10年間撮影し続けてきました。
トークでは、小野さんの目から見た林先生の授業と、それを受けた子どもたちの様子をお話しいただきました。
林先生と子どもたちとの対話、授業が進むにしたがって刻々と変わる子どもたちの表情、大きな望遠カメラやストロボも授業の進行を妨げない、子どもたちの凄まじい集中力。
「写真家・小野成視」さんのお話は、「写真」や「撮影」のお話ではなく、小野さんが受けた林先生の授業のお話そのものでした。
小野さんを通して林先生の授業を追体験しながら、考えるとはどういうことか、学ぶとは、自分と向き合うとはどういうことか、など、様々な思いが交錯した1時間。会場内は小野さんのお話に引き込まれ、凝縮した空気に包まれました。
12月19日(日)も午後2時から、小野成視さんにお話しいただきます。
本日ご参加いただいた方も、おいでになれなかった方も、是非お越し下さい。
今回とは別のお話を、とのことでした。少し残念なような、楽しみなような。
展覧会だけではなく・・・②
先日のブログでも紹介した銀杏がだいぶ色づいてきました。
やはり奥の何本かはまだ青葉のままです・・・。
↓ちなみにこの角度が今一番綺麗に見れるようです。
練馬第三小学校との間にあるプチ銀杏並木は青葉のままの木が多いですが、中には既に散り始めている木も。
展覧会をご覧になった後はぜひ周辺散策をお楽しみください。
館長の連載をスタートします
若林覚館長の連載をスタートします!
世界各地を駆け回ったサントリー時代の経験を中心に美術に対する思いを綴っていただきます。第1回はスペイン・ビルバオのグッゲンハイム美術館についてです。どうぞお楽しみください!
第1回 ビルバオグッゲンハイム美術館
ニューヨークのグッゲンハイム美術館の設計者をご存知だろうか。
フランク・ロイド・ライト、帝国ホテルの設計者でもある。蝸牛を思わせる螺旋状の外観は、一度見たら忘れない。
弟子の天野太郎は、嵐山カントリークラブ(埼玉)のクラブハウスを設計した。曲線が、どこかグッゲンハイムに似ている。メンバーには練馬区民が多い。
そのグッゲンハイム、世界戦略が急だ。今は、NYのほかに、ベネチア、ベルリン、ビルバオにある。
かっては、NYソーホー、ラスベガス、ネバダにもあった。日本にも、お台場の構想があり設計者(ザハ・ハディッド)まで決まっていたが頓挫した。その後、サントリー・グッゲンハイム美術館(大阪・天保山)の可能性はないものかと、勝手に思い込み、香港やNYで、稀代のやり手、トーマス・クレンズ館長やスタッフと度々会った。
土俵に登りかけたが、結局、物別れ。2011年には、アブダビ、グアダラハラ(メキシコ)、ビリニュス(リトアニア)ができるという。更に、台中、リオデジャネイロ、ウイーン、ザルツブルグ、ブカレストに計画中という。中でも最も成功したのが、スペインビルバオ。1997年にできた。
2005年秋、パリでのピカソ、オルセー、装飾工芸美術館との打ち合わせの後、そのビルバオへ飛んだ。飛行機で1時間の距離だ。バスク地方の中心都市で、人口35万人。近くには、ナチスの爆撃や、ピカソの絵で有名なゲルニカもある。かっては、鉄鋼や造船で栄えた。バスク人、バスク語で中世の面影を残す古い街だ。
その古い街のネルビオン川に面して、コンテンポラリーなデザインのビルバオグッゲンハイム美術館があった。フランク・ゲーリーの設計で、全館うねるような曲線のチタニウムの外壁だ。正面には、高さ10mの植栽からなるジェフ・ク―ンズの犬が座り、お客様を出迎えている。
古い街並みと川、コンテンポラリーな外観と巨大な犬、バスク独自の歴史と文化。この違和感が、妖しげな魅力を醸しだしている。
館内は常設の現代アートと企画展。それぞれクオリティが高い。が、何といっても美術館の建物そのものが最大・最高のアート。出会い頭の衝撃で、中のものは、みんなぶっ飛んだ。殆んど覚えていない。
案内して頂いたキューレーター氏 「人口35万人のスペインの片田舎ビルバオ。ここに年間100万人を超える客が、世界中から来るようになった。マドリードは、310万人。プラド美術館は、300万人。これを比較すると、いかに成功しつつあるか、わかって頂けると思う。一つの美術館が、ビルバオをバスクを活性化したんです。」
しかるに我が練馬、人口70万人。やがて、日本に、世界に誇れるような文化施設を持ちたいものだ。
若林 覚
次回は、ガラパゴス諸島 太古の自然の美をそのままに
大沢展スペシャルトークを行ないました!
10月31日から開催中の「芸術家の家 大沢昌助と父三之助展」。
11月14日にはスペシャルトークを行ない、大沢昌助の長男である大沢泰夫さんにお越しいただきました。
会場には、70人近くのお客様がお集まり下さいました。
上:会場の様子。
下:大沢泰夫さん。
泰夫さんには、展覧会開催秘話、大沢家の和気あいあいとした様子、父・昌助が作ってくれたお弁当の話など、さまざまなエピソードをお話しいただきました。
展覧会は、12月23日まで。
油絵で知られる大沢昌助の少年時代の水彩画、昌助ら兄弟による家庭内同人誌や“紙映画”、そしてそんな彼らの創作活動に影響を与えた建築家の父・三之助の資料を多数公開しています。
同時開催の「人間風景へのまなざし―絵画と写真―小野具定(おの・ぐてい)・成視(しげみ)二人展」は、日本画家・小野具定と、フォトグラファーである息子・成視氏の親子展です。
大沢家と小野家、二つの家族のそれぞれの絆のかたちに触れ、ご自身を育まれた懐かしい風景に思いを馳せてみてはいかがでしょうか。
11月20日には、大沢展のギャラリートーク(学芸員による見どころ解説)、21日には小野成視氏をゲストにお迎えし、トークイベントを行ないます。引き続きお楽しみに!
展覧会だけではなく・・・
秋も深まり各地から紅葉の便りが届く季節になってきましたが、美術館周辺の銀杏もそろそろ色づき始めています。
まだまだ色づき始めたばかりですが、あと1週間~2週間で綺麗な黄金色に変わるのではないかと思います。ただ、何故かここの銀杏はいっせいに紅葉しないんです・・・。1本は綺麗に紅葉していても、隣の1本はまだまだ青葉のままなんてことも。それはそれで面白いのですが、どうせなら一気に紅葉して欲しいですよね。
また、美術館入口階段前は「美術の森緑地」と名づけられた憩いの場が広がっており、天気の良い日は皆さんベンチに腰掛けて休んだり、お子さん達と遊んだりと、思い思いに過ごされています。
夏の間は暑い暑いと言われ続けた練馬ですが、今の時期の晴れた日などはとっても過ごしやすいです。展覧会をご覧になった後は、ゆっくりとベンチで図録をご覧になったり、持ってきたお弁当をお食事になる、なんてとても気持ちいいと思いますよ!(ゴミ箱はありませんのでゴミはお持ち帰りください<(_ _)>)
今の時期美術館周辺は色づく銀杏を眺めたり、お子さんとどんぐり拾いをしたりと展覧会以外にも色々楽しんでいただけると思います。ぜひ練馬区立美術館へいらして下さい!
25年分の図録を展示しています
練馬区立美術館と貫井図書館は今年開館25周年を迎えます。
平成22年度は『国民読書年』にあたるということで、区内の図書館では、さまざまな記念事業がおこなわれています。
美術館と同じ建物に同居している貫井図書館は、
『図録でたどる 練馬区立美術館25年の歩み』
というテーマで、今日から3日間、貫井図書館の視聴覚室で展示をおこなっています。
これまでおこなわれた企画展覧会の図録を年代順に並べ、ポスター23枚を選んで展示しています。
「この展覧会見に行った。なつかしいなあ。」とか「練馬でこんな展覧会をやっていたんだ。」とか、それぞれに何かを感じていただければと思います。
現在開催中の「大沢昌助と父三之助展」 「小野具定・成視二人展」を鑑賞したら、帰りにちょっと立ち寄ってみてください。
11月7日、日曜日まで。